当たり前の日常が崩れた 公演中止続き、若者が挑んだ新時代の神楽

 原爆ドームや宮島の厳島神社を背景に、色とりどりの着物をまとった人々が舞う。スローモーションを駆使した映像は壮大で美しく、「かっこいい!」と画面に釘付けになった。

 広島で記者をしている私(25)が見たのは「神楽」をPRするユーチューブの動画だ。

 神楽は、物語に沿って、笛や太鼓の音色や舞が披露される伝統芸能。広島県島根県は、全国有数の神楽どころとして知られる。広島県には300近い神楽団があるとされ、各地で神楽文化が受け継がれている。

 ただ、東京出身の私は広島に来るまで神楽を知らなかった。

 動画は、「NEXTひろしま神楽プロジェクト」が制作した。代表の下岡佑也さん(37)は、広島県北部の安芸高田市を拠点に県北部で盛んな芸北神楽を受け継ぐ「羽佐竹(はさたけ)神楽団」の団員だ。

 昨年12月上旬の夜。広島市内から車で1時間かけて安芸高田市のコミュニティーセンターに着くと、光が漏れ、笛の音が聞こえてきた。仕事終わりに集まった人たちがジャージーに白足袋で舞っていた。

コロナ、後継者不足で存続の危機

 下岡さんは小学1年から神楽を始め、週2回の練習とほぼ毎週末の公演を続けてきた。神楽がある日常が当たり前だった。

 だが、2020年に新型コロナウイルスの感染が拡大。集まって練習ができず、公演も中止に。それ以前から後継者不足で、活動を休止する神楽団もあった。

 「このまま衰退していくのはもったいない。家族のような地域の人たちと神楽ができなくなるのはさみしい」。下岡さんは神楽文化の存続に危機感を覚え、昨年2月、同世代の団員ら4人と、神楽プロジェクトを立ち上げた。

新時代の神楽に挑戦する若者たち。記事後半では、その原動力に迫ります。島根県の石見神楽が多くの人を引きつける理由も紹介しています。

 神楽の舞台を見たくなる、映…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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