論説委員・井田香奈子=司法社説担当
2カ月が経つが、進展がない。もう忘れてしまったのだろうか。
性的少数者や同性婚をめぐり「隣に住んでいるのもちょっと嫌だ」などと首相秘書官が発言してくっきり浮かんだ、公権力がもつ差別性のことだ。
事態収拾の動きは速かった。岸田文雄首相は発言のあった2月3日の翌日、秘書官を更迭し、2週間後には、当事者団体の6人を官邸に招いて謝罪した。
このとき6人は、当事者に向けられる深刻な差別やいじめ、同性婚を認める海外の動きなどを説明した。
「命を絶った仲間もいる」「若い世代の当事者に自殺念慮が高い」といった現状が伝えられ、重い空気が漂った。
「何でも聞いて下さい」。そう促された岸田首相は「う、うーん」としばらく黙り込んだ。そして、「当事者が一番苦しんでいる、その根幹は何ですか」と絞り出すように尋ねたという。
「LGBT法連合会」代表理…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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