宮脇稜平
20世紀に活躍した彫刻家平櫛田中(ひらくしでんちゅう、1872~1979)が晩年を過ごした東京都小平市の旧宅について、保全に向けて耐震補強工事を施すことになった。旧宅を管理・活用している小平市平櫛田中美術館が明らかにした。工事費を補うため、設計の費用はクラウドファンディング(CF)で100万円を目標に12月15日まで募る。
平櫛は写実性や彩色に優れた作品が特徴で、六代目尾上菊五郎をモデルとした「鏡獅子」(1965年制作)は「近代彫刻の最高峰」ともされる。長く東京都台東区に住んでいたが、68年に小平市に家を建て、移り住んだ。設計は、昭和を代表する建築家で国立能楽堂などを手がけた大江宏。79年に亡くなるまで、この家で作品の制作に取り組んだ。
長年親しまれるも老朽化進む
死後、自宅は84年に展示用の施設として公開。隣に展示館を建て、巨匠の生活を感じられる美術館として親しまれてきた。だが、老朽化で2019年から20年にかけての耐震診断で基準を満たさず、今は安全のため、玄関付近のみの一部公開となっている。
CFはインターネットや金融機関を通じてでき、市外からの2千円以上の寄付には、額に応じて図録や絵はがきセットを返礼する。
同美術館の担当者は「補強後も当時の風合いや見た目を残すようにしたい」と話している。(宮脇稜平)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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