ショートカットに黒いパーカ、スリムジーンズ、スニーカー。18歳の新入生は、黒目がちな瞳が印象的だった。
留学生との交流会を企画する大学サークルに彼女が入ってきたのは2014年4月のこと。サークル代表で当時3年生だった男性は「大人っぽいな」と思った。
「海外で活躍できる国際的な仕事をしたい」。彼女はそんな夢を語った。交流会では、話の輪に入れない留学生にそっと英語で話しかける気配りをみせた。
「ナルさん」。同級生も先輩も、いつしか彼女を「さん付け」で呼ぶようになった。
「はじめまして、ニコラスです」
数カ月後の夏、男性は知人から、チリから来たばかりの留学生がいると聞いた。DJができるという。ちょうど、交流会のDJ役を探していた。
「はじめまして、ニコラスです」。目を見て話す姿に好感を持ち、サークルに誘った。男性より3歳年上で、兄弟のように仲良くなった。
「彼女と付き合っている」「She is so sweet」
15年春ごろ、ニコラスから打ち明けられた。
「お似合いのカップル」だと思った。自分が出会いを作ったようでうれしかった。
その年の夏、ニコラスは留学を終えてチリに戻り、男性は別の国に留学した。
「彼女がチリに旅行に来るから案内するんだ」。ニコラスから届いたメッセージからは、順調な交際ぶりがうかがえた。
男性が留学から帰国した16年夏、今度はナルさんがフランス東部ブザンソンに留学した。「土産話を持ち寄ってまた3人で再会したい」と楽しみにしていた。
だが16年12月、まさかの…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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