政府が掲げた「待機児童ゼロ」に向け、保育園の開園ラッシュが続く中、都市部で長年待機児童を受け入れてきた保育園が園児不足に直面しているという。何が起きているのか。
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周囲に次々新園、半減した園児
「子どもの数はピーク時の半分ほど。まだまだ設備は使えるものばかりなんですが」
東京都の地下鉄の駅から徒歩数分の距離にある認証保育園は10年近く続いたが、すでに今年度末での閉園が決まっており、運営する株式会社の担当者は声を落とした。保育室は近隣の認可園と同等以上の広さがあるが、近くに新園が毎年のように建ち、建物の問題で認可への移行もできなかったためだという。
認証園は、国の基準を満たさない認可外園だが、自治体が独自の基準で認定して運営費も助成する保育園の一つ。入所できれば待機児童に数えない「準認可」施設として、1997年の「横浜保育室」など、大都市圏の自治体が整備を促進し、都の認証園は2001年にスタートした。
認可に比べ開所時間が長いなどのメリットもあり、ピークの14年には定員数が2万人を超えた。しかし15年の認可施設の制度改正で、ビルの1階やマンションの一室など、定員が少人数の保育園も認可園に加えられ、小規模保育園などが増加。さらに16年には企業が従業員向けに作り、一般の人も受け入れる企業主導型保育園も新設された。認証園から認可園に移行した園も多いが、施設の要件で折り合わない認証園では、ほかの制度に比べて割高になりがちな保育料なども影響し、次第に定員割れが目立ち始めた。
東京都世田谷区は5月の区議会で、区内の認証園で今春、待機児童が最も多くなる0~2歳児クラスでも計372人の欠員が生じたと報告した。区は「認可園の増加や企業主導型園との競合によるもの」と分析。昨年度は園児不足で1園が事業譲渡、1園が閉園したという。
今春、10年以上運営を続けてきた都心部の認証園を園児不足で閉めた会社の担当者は、「保育の『質』は長年の積み重ねで作るもの。一度作った保育施設は、子どものためにも簡単に閉められるものではない。それなのに、事業継続の責任は、運営側の自助努力にばかり求められるのが実態だ」と不信感を示す。
「聞いていた話と違う」憤る事業者
一方、始まったばかりの企業主導型園でも、事業者から不満が出ている。
「園児が集まらない。聞いてい…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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