少子化やコロナ禍の預け控えなどで、待機児童は大きく減少しつつありますが、いまだに希望する園に入れないなどの「隠れ待機児童」は高止まりしています。一方で、定員割れが生じている保育園では運営不安の声も上がっています。「待機児童数」だけでは見えてこない保育施策の現状と課題について、東京大学の汐見稔幸名誉教授(教育学)に聞きました。
――待機児童の数が急速に減少していますが、この流れをどう評価していますか。
これまで、日本の保育施策は「女性の労働力をどう確保するのか」という視点で語られてきました。そのため、保育園に入れる園児の人数をどう増やすかに重点が置かれてきました。その成果は、一定程度あるのだと思います。
ただ、「保育の質」の確保の議論は、二の次になっていました。
――具体的に、保育の質で足りない点はなんでしょうか。
公立の小学校のように、どの…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル