後絶たぬ学校への不審者侵入 「もう二度と」遺族の思い、現場の模索

 児童8人が殺害された2001年の大阪教育大付属池田小学校(大阪府池田市)の事件を機に、全国の学校では安全対策が進められてきた。だが、今も学校への不審者の侵入事案は後を絶たない。遺族の指摘なども踏まえ、現場では模索が続く。

 「事件を二度と起こさせないという遺族の思いを込めた国との合意書の理念をさらに10年、20年と引き継いでもらいたい」。事件から22年を前に、5月下旬に報道陣の取材に応じた酒井肇さん(61)と智恵さん(62)=大阪府在住=は、学校の安全を守るには不断の改善が必要だと訴えた。

 2人は事件で長女の麻希さん(当時7)を失った。合意書は、亡くなった8人の児童の遺族と国が、事件2年後の2003年6月8日に締結したものだ。「不審者に対して教職員の十分な対応がなされていなかった」として、文部科学省と学校が遺族に謝罪し、再発防止策を約束した。8日で合意から20年を迎えた。

 この間、国は09年に法改正し、危機管理マニュアルの作成を学校に義務づけた。今では全国の幼稚園や認定こども園、小中高校、特別支援学校の97%が作成している。12年には学校安全推進計画を国が策定した。智恵さんは「国と約束した意味は大きかった。現場のみに任せるのではなく国が主導して進めてくれた」と20年を振りかえる。

 肇さんと智恵さんは、これま…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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