死者・行方不明者計63人を出した2014年9月の御嶽山(長野・岐阜県境、標高3067メートル)の噴火災害をめぐり、遺族ら32人が国と長野県に計3億7600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が13日、長野地裁松本支部であった。山城司裁判長は、検討を尽くさないまま噴火警戒レベルを据え置いた気象庁の判断が違法だと認定した一方、レベルを引き上げていても被害を防げたとは認められないとして、原告側の請求を棄却した。
噴火は14年9月27日午前11時52分に発生。多くの登山者が巻き込まれ、58人が死亡、5人が行方不明となる戦後最悪の噴火災害となった。噴火時に火口周辺1キロ以内にいて犠牲となった遺族やけがをした人が提訴していた。
気象庁が噴火前に御嶽山の噴火警戒レベルを1(当時は「平常」)から2(火口周辺規制)に引き上げなかった判断が適切だったかが大きな争点だった。
噴火警戒レベルは2007年に導入され、山ごとに火山活動の状態に応じ、警戒が必要な範囲や、住民や登山者らに取るべき対策を5段階で知らせる。
判決はまず、噴火警戒レベルの判断には、気象庁の専門技術的判断に基づく合理的裁量が認められると指摘。その上で、御嶽山のレベルを引き上げる基準として定められていた「火山性地震の増加(1日50回以上)」「山体の膨張を示すわずかな地殻変動」などの要件をもとに検討した。
判決によると、御嶽山では噴火17日前の9月10日に52回、11日に85回の火山性地震を観測。噴火2日前の9月25日には、山体膨張を示す地殻変動と疑われるデータが気象庁内で指摘されていた。
山城裁判長は、レベル引き上げの判断基準にある「1日50回以上の火山性地震」は目安で、他の観測データも踏まえて総合的に判断するとの記載があり、「ただちにレベルを引き上げる注意義務があったとはいえない」とした。
警戒レベル引き上げの検討「漫然と先送り」
一方、噴火2日前に、山体膨…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル