出雲大社相模分祠(秦野市平沢)は2月3日まで、分祠発行の御朱印帳以外には御朱印を浄書せず、書き置きを頒布することを決めた。新年早々、御朱印を求める参拝客が事情を考慮せずにクレームを付けたり、迷惑行為をしたりしたため、巫女(みこ)や職員の精神的負担を考慮し、異例の対応を取る。担当者は「マナーが悪いのは一部の参拝客で心苦しい決断だが、職員を守りたい」と理解を求めている。
分祠によると、普段は参拝客から御朱印帳を預かり、御朱印を浄書している。令和に改元された昨年5月1日には約100メートルの行列ができ、職員総出で対応した。ただ1月1~5日と同月中の土日祝日は1日当たり1000~1500枚に上るため、以前にも同月中の土日祝日と出勤する職員が少ない平日は書き置きを頒布したこともあった。
今年も元日から書き置きを手渡していたが、御朱印帳に浄書してもらえないことに立腹した客が列を無視して近づき、「何で書かないんだ」「ずるをしている」などと大声で文句を言ったり、「これはコピーだろ」と受け取らなかったりした。
参拝客のマナーの悪さは、御朱印集めがブームになるのと比例するように、ここ数年目立っているという。昨年は預けた御朱印帳を自分のものと認めず、1時間にわたって弁償を求めた客もいたという。
こうした事態を受け、相模分祠は2月3日まで、分祠発行以外の御朱印帳には浄書せず、書き置きを頒布することを決め、境内の張り紙やホームページで周知している。
担当者は「迷惑行為が続いて書き手の確保が難しくなり、社務に支障が出ている」と説明。今後も改善されない場合、予告なしに印刷された御朱印を頒布する、または御朱印自体を中止することを検討するという。
都内から足を運び、張り紙を見て驚いていた女性(58)は異例の対応に理解を示し、「神社が不快な思いをされていて悲しい。職員の方が気の毒」と同情。境内でボランティア活動をしている栗原正行さん(78)は「マナーの悪い参拝客に注意を呼び掛けたい」と話した。
分祠の担当者は「心苦しい決断だが、職員がいなければ社務が回らない」と吐露。「マナーを守って参拝してほしい」と改めて参拝客らに呼び掛けている。
神奈川新聞社
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