前回の平成28年の参院選に続き、2度目の合区となった徳島・高知選挙区(改選数1)。自民党も野党も高知を地盤とする候補者を擁立しており、徳島での浸透が課題だ。29年の衆院選では両県での与野党の比例代表得票数が拮抗(きっこう)していた状況があり、両陣営は互いに徳島を“主戦場”とした譲れない戦いが続いている。
「本当にすみません。ありがとうございます」。10日、徳島県吉野川市での演説会で、自民現職の高野光二郎(44)は謝罪から切り出した。傍らには、自民の特定枠で立候補している同市出身の三木亨が座る。
同選挙区で自民は今回、候補者調整に難航した。「徳島での知名度は抜群」と三木を推す徳島県連に対し、「前回は徳島から候補者を出したから今回はこちらだ」と高野を推す高知県連。結局、昨年末に高野が公認候補に決まり、三木は特定枠に回った。
冒頭の謝罪はこの経緯を踏まえたとみられ、高野は「徳島と三木先生の気持ちを背負っているので、絶対に負けない」と力を込めた。
高野にとっては徳島での知名度が課題となる。その上、自民高知県議は「高知は共産が強く、厳しい戦いだ」と語る。29年の衆院選で共産の比例代表得票率を都道府県別にみると、高知は西日本では京都に次いで2番目に高かった。
野党は統一候補として、その共産高知県委員会常任委員の松本顕治(35)が無所属で出馬。立憲民主など野党各党の支援を受け、反安倍政権の広い受け皿を目指している。
だが、合区ならではの不安要素はこちらにもある。野党共闘に対する両県の実績の差だ。
高知では29年の衆院選高知2区で野党統一候補が自民現職を破った。一方、徳島では勝っていない。共闘の経験も「高知の方が進んでいる」(共産徳島市議)。10日にJR徳島駅前で、共産党委員長・志位和夫はこう訴えた。「野党共闘は毎日進化している。力を合わせて新しい政治にしていこうじゃありませんか」
29年の衆院選。徳島と高知を合わせた比例代表得票数は、与党は28万8925票だったのに対し、共闘した野党勢力は27万9563票と五分五分だった。これを踏まえ、両陣営が注目するのは、投票率の行方だ。
今回とは逆に、自民と野党がいずれも徳島県を地盤とした候補者を擁立した前回参院選で、高知県は45・52%と全国最低を記録した。いずれも高知を地盤とする候補者を擁立した今回は徳島県で有権者の足が遠のくと見る向きが強く、両陣営は徳島での票の掘り起こしに躍起になっている。
ただ、有権者の「合区アレルギー」は根強い。徳島県阿南市の理学療法士の女性(40)は疑問を呈する。「過疎化など地方の方が課題が山積するのに、なぜ人口の少ない県から合区になるのか。徳島の代表こそ必要だ」(文中敬称略)
=終わり
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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