必死で渡したタスキ「美談じゃない」 0秒で繰り上げ免れた選手の今

 27歳で教師になった。配属は定時制高校。顧問となった陸上部には、5人の生徒がいた。

 何かしらの事情を抱えている生徒が多かった。仕事しながら通う生徒、中学に一度も行かなかった生徒……。週1回の部活にも、しぶしぶ参加していた。

 しばらく練習を続けると、生徒から「部活動を増やして欲しい」と言われた。前日の自分のタイムを超えるのが楽しくて、仕方がないという。

 部活は週5日に増えた。仕事前の早朝にグラウンドに来る生徒もいた。

 生徒と言い争ったことがある。

 何日も練習をサボっていた生徒がいた。こんな声をかけた。

 「自分で陸上を真剣にやるって決めたよね? 自分のための陸上なんだよ」

 それは、8年前の恩師の言葉そのものだった。

「走れれば良い」と思った箱根駅伝

 鈴木駿(33)は2010年…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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