新型コロナウイルスの感染拡大で、7都府県を対象に発令された緊急事態宣言。5月の大型連休明けまで不要不急の外出自粛が呼びかけられ、学校の休校措置も延長された。長引く外出自粛は多くの家庭で負担になっているが、普段の食事や家事、趣味の時間を楽しむ発想の転換で乗り切ろうという動きも出ている。(石川有紀、小泉一敏)
「親子で子供部屋を片付けるいい機会ととらえた」。こう話すのは、大阪市内で夫婦で美容室を営みながら小学6年と4年の娘を育てる女性(39)だ。
「人生がときめく片づけの魔法」のベストセラーで知られる近藤麻理恵さんのやり方を参考にしたところ、子供たちも積極的に参加したという。タンスなどから洋服やおもちゃをすべて出し、「ときめくかどうか」を基準に残すものを自分で選び、ポリ袋5袋分を処分した。女性は「子供にも片付けの習慣がついたら」と期待する。
外出しにくくなっているのをきっかけに、自宅の大掃除に取り組む人も多く、近藤さんは10日から、同書の改訂版をネット上で無料公開している。
一方、高齢者については、厚生労働省が適度に体を動かせる家事や庭いじり、農作業などを勧めている。こうした中、貸し農園にも注目が集まっている。
堺市などの耕作放棄地を貸し農園にしている「シード・タウンマネジメント」(大阪市中央区)は、4月、新たに4カ所を開園したところ、60~70代の申し込みが相次ぎ約150区画の多くが予約で埋まった。
同社の川東大志(ひろし)代表(46)は、「外出自粛を理由に一部キャンセルもあったが、外での農作業で気晴らしがしたいという人も多い。利用者の心身の健康に役立ってくれれば」と話している。
■「なんちゃってイチゴ狩り」室内向けのアイデアも続々
新型コロの感染が拡大し始めた当初は屋外レジャーが人気を集めたが、相次ぐ外出自粛要請に様相は一変、自宅で過ごす家庭が増えている。
こうした中で人気を集めているのがDVDのレンタルやインターネットの動画配信サービス、屋内で使えるエクササイズグッズなど。玩具メーカーのタカラトミーでは、「人生ゲーム」「黒ひげ危機一発」といった家庭で楽しめる商品の売り切れが相次ぎ、追加生産する予定だ。
会員制交流サイト(SNS)上でもさまざまなアイデアが登場。洗濯挟みにつるしたイチゴをつまみとって食べる「なんちゃってイチゴ狩り」のほか、ベランダにキャンプ用のイスを出して昼食をとるなど、「自宅で行楽気分を味わえる」と話題を集めている。
料理レシピ検索サイトの「クックパッド」の運営会社によると、3月は「お昼ごはん」や「子供と作る」といったキーワード検索が前月に比べ倍増。親子で作って楽しめるピザ、たこ焼き、イチゴあめなどのレシピが人気だった。
総合情報サイトのオールアバウトグループが、小学生を持つ親227人に4月上旬、「家庭の困りごと」を調査したところ、「外遊びができずストレス」「遊びのレパートリー不足」が上位を占めた一方、「親子でやりたいこと」としては「手芸や工作」「料理」に関心が集まった。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース