「ピリピリした状態でお見送りするのは故人、参列者ともに不幸」
新型コロナウイルス感染による肺炎で死去したタレントの志村けんさん(享年70)の兄、知之さんが取材に応じ、志村さんの遺体について、火葬され、知之さんが遺骨を引き取ったことを明かした。
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ただし、感染予防のため、火葬場には入ることができず、遺体と最後の対面することもかなわなかったという。もし、家族や親せき、親しい知人が新型コロナウイルスにより、急逝した場合、どうなるのか。
ジャーナリストで僧侶の鵜飼秀徳氏がこう説明する。
「通夜・葬式の前に火葬を済ませておくことを『骨葬』と言います。現在でも北関東や長野などの一部地域では骨葬のスタイルを取っています。これはかつて養蚕が盛んだった地域に見られます。地域の人が死んで、葬式の準備に駆り出されてしまえば、蚕の面倒が見られなくなりますから、先に火葬を済ませておいてその後、ゆっくりと葬式をしたのです。東北の豪雪地帯などでも骨葬をするところは多いです。したがって、先に火葬することが仏教的におかしいということはありません。今回は、ご遺体からの感染を防ぐため、緊急避難的な措置として骨葬にせざるを得なかったのでしょうが、過去には天然痘などが流行した時に、同じようなことが行われたケースもあったようです」
普通の葬式との手順は“逆”になるが、弔いをすることそのものに意味があると、鵜飼氏は指摘する。しかし、愛媛県では葬式に参列した弔問客から、新型コロナウイルスに集団感染するケースも出てきた。
「大事なのは、心穏やかに故人を送ってあげられる環境をつくること。参列者が『遺体から感染しないか心配』などと、ピリピリした状態でお見送りするのは故人、参列者ともに不幸です。今回のような非常時は先にお骨にしておき、コロナの流行が収まってから葬式やお別れの会をされるのがよいかもしれません」(鵜飼氏)
新型コロナウイルスで亡くなった場合、遺体と最後の対面をすることは難しい状況が続きそうだ。遺族は“心の傷”を負ってしまわないだろうか。
「看取ることができなかったり、最後の対面ができなかった遺族にとって、心の整理のつけ方が難しい。だからこそ、新型コロナウイルスが終息してから、改めて、きちんとお葬式を開いてほしいと思います。それが心の傷を癒す唯一の方法ですから」(鵜飼氏)
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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