新型コロナウイルスの感染拡大で、年明けの入試に対する大学の不安が高まっている。朝日新聞と河合塾の共同調査によると、感染リスクや家計の悪化を受け、志願者の減少を心配する大学が約500校と、回答者の8割を占めた。集団感染は起きないか、複雑になった日程を無事にこなせるか……。コロナ下での入試シーズン到来に神経をとがらせている。
共同調査「ひらく 日本の大学」は9~11月、国公私立の767大学を対象に行い、631大学が回答した。「コロナ禍による志願者の減少」を懸念する大学は499校と、回答者の79%にのぼった。私立大では85%が減少を心配し、大都市圏や大規模校ほど危機感が強い傾向が出た。
大手予備校によると、感染リスクや家計の悪化などから、地方の高校生の間では、首都圏でなく実家近くの大学を選ぶ傾向が強まっているという。
東京理科大は「受験生の地元志向は昨年度より強まると予想しており、志願者の減少は避けられない」との見方を示す。山梨学院大はコロナ禍による経済状況の悪化をふまえ、「大学進学者が全体として減少してしまうことを危惧している」と答えた。
感染拡大に歯止めがかからないなか、「感染リスクに配慮した試験運営」を危惧する大学も505校(回答者の80%)あった。感染が急拡大した北海道の大学では9割を超えた。
5千人規模の受験生を同一会場で受け入れる中央大は「感染リスクへの不安が大きい。受験生が安心して受験できる体制を整える必要があり、例年以上に対応に時間を要する」と答えた。会場でのクラスター(感染者集団)の発生を心配する意見も散見された。
岩手大は「万が一、教職員に感染が広がった場合には試験実施が困難になる」。立教大は「既往症のほか、高齢や持病のある家族との同居などの事情で、入試関連業務に抵抗感を持つ者がおり、試験当日の運営体制の確保に不安がある」と回答した。
受験生の感染に備え、大学入学共通テストに特例追試験が加わるなど、入試日程は複雑になっている。「追試験や振替受験の実施」に不安をもつ大学は362校(同57%)だった。名古屋大は「トラブルなく入試をし、無事4月に入学者を迎えることができるのか」と不安視する。特例追試験を含め、共通テストの試験日が3回に分散するため「合格判定基準で公平性が保たれるのか」(神戸大)という声も目立った。
共通テスト、感染拡大した場合は
「受験ですから中止ということ…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル