急死の職人が残した「涼」今夏も 家族が引き継ぎ芽吹いたつりしのぶ

 「つりしのぶ」が今夏も涼しげに揺れている。

 仕込んだ本人は春に亡くなったが、家族が大切に引き継いで育てた。

 つりしのぶは、竹などで作った芯にシダ植物の「シノブグサ」の根茎や山ゴケを巻き付けて作る。夏に軒先につり下げ、風鈴をつけるなどして涼感を楽しむ。

都内唯一の専業生産者「萬園」

 生産が盛んだった東京都江戸川区によると、江戸時代に庭師がお中元用に作ったのが始まりとされ、明治から昭和初期に一般家庭に広がった。しかし、生息地や採取者の減少や後継者不足で、1960年ごろに区内に20軒ほどあった生産者は激減。都内に残る唯一の専業生産者が、同区松島1丁目の「萬園(よろずえん)」だという。

 35(昭和10)年創業。7月、屋外の棚には球や円筒、芯を「井」の字の形に組んだものなど、約10種がいくつも並んでいた。2代目の深野晃正(てるまさ)さんが昨秋から手がけてきたものだ。

深野さんは東京都の優秀技能者として知事賞も受賞。「生涯現役」をめざしたが、4月に急死しました。家族が引き継いだ「つりしのぶ」の今年の出来はどうだったのでしょうか。

 晃正さんは15歳から、先代…

この記事は有料記事です。残り674文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment