伊藤和也
法務省の「性犯罪に関する刑事法検討会」が21日、刑法などの規定のあり方について議論してきた内容を報告書にまとめ、上川陽子法相に提出した。性交罪が成立する要件や公訴時効などで見直しを含む課題を整理したもので、法務省は法改正に向けた検討に入る。
報告書は、「性犯罪の処罰規定の本質は同意のない性行為にある」としつつ、被害者の不同意のみを要件とする性交罪の新設には処罰の範囲に「課題が残る」と指摘した。そのうえで、強制性交罪と準強制性交罪が成立する要件に、「威迫」を用いたり「睡眠」や「酩酊(めいてい)」につけ込んだりする行為を追加して例示する意見を盛り込んだ。
性犯罪は被害の認識や申告に時間がかかるとして、公訴時効の成立を遅らせる検討も今後の課題に挙げた。また、判断能力がまだ未熟な中高生らの特性に応じた対処の必要性を指摘。「暴行、脅迫」がなくても強制性交罪が成立する年齢を13歳未満から引き上げるなど、処罰規定の具体的なあり方に言及した。
この日の検討会後、座長の井田良(まこと)・中央大教授から報告書を受け取った上川法相は「性被害は大変重要な問題。しっかりと検討に役立てたい」と語った。(伊藤和也)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル