性犯罪の被告に知られるのを防ぐため、被告に送られる起訴状で被害者の氏名を秘匿できるようにする刑事訴訟法改正案を法務省がまとめ、上川陽子法相が20日の法制審議会に諮問した。対象となる犯罪として、強制性交や強制わいせつなどの性犯罪のほか、児童買春・ポルノ事件や、児童に淫行させるといった児童福祉法違反事件などを挙げた。被告が自身を守る権利が損なわれる恐れがあれば、秘匿を認めないことも盛り込んだ。
起訴状では、罪に問う事件の内容を特定しなければならない、と刑事訴訟法は定める。ほかの事件と区別し、被告が適切に反論できるよう防御の範囲を示すためとされる。特定の方法として明記されているのは「日時、場所、方法」だけで、被害者の氏名については定めはないものの、特定のための一要素として通常記載されている。起訴状は謄本が被告に届くため、氏名を知られることで再び何らかの被害に遭う恐れが指摘されていた。被告と面識がない事件などで被害者が不安を覚え、捜査への協力を得られないケースもあった。
事件内容の特定と被害者保護の両立を図るため、検察は被害者の氏名に換えて親の氏名と続き柄などを記載する運用に取り組んだ。だが、事件内容の特定が十分でないとして裁判所に認められないケースが相次ぎ、改善策の検討が進められていた。
氏名伏せた抄本で手続き可能に
諮問案は、氏名や住所、勤務先など個人の特定につながる情報を「個人特定事項」とし、秘匿できる対象犯罪として性犯罪などに加え、特定事項が知られれば「名誉、社会生活の平穏」が害される恐れや「身体、財産への加害行為」などを受ける恐れのある事件も規定した。ストーカー事件や暴力団らの組織犯罪などを想定しているという。
秘匿する場合は、謄本が義務…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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