東京オリンピック(五輪)・パラリンピックにあわせ、スポーツと性的少数者について情報発信などをする施設「プライドハウス東京レガシー」が11日、東京・新宿にオープンした。東京大会の公認プログラムとしてイベントなどを行い、大会後も常設で運営する。誰でも無料で利用できる。
性的少数者の居場所作りを行ってきたNPO法人や五輪のスポンサー企業が運営に関わり、休眠預金や企業の協賛金で資金を賄う。
広さ約140平方メートルの施設には多目的スペースやカフェコーナー、相談ブース、性的少数者に関する本を集めた書棚があり、支援者を増やす講座や当事者への支援も行う。年内は月・金・土・日の午後1~7時で開館し、その後は開館日や開館時間を増やす予定。今月12日は臨時休館する。
11日にオープニングイベントが開かれ、活動紹介や、大会組織委員会の担当者による講演が行われた。
運営責任者の松中権さん(44)は「スポーツと性的少数者というテーマにこだわらず、教育など色々な問題との接点を作るきっかけを提供していきたい」とあいさつ。「性的少数者は目に見えづらく、バカにされたり、差別されたりしてきた。性的少数者について知ってもらうことで、民族や宗教といった他の差別で苦しむ人たちにも関心を向けてもらえたら」と話した。
プライドハウスは2010年のバンクーバー冬季五輪以降、各地で設置されたが、常設の施設ができるのは東京大会が初めてという。
東京大会は「多様性と調和」をコンセプトの一つに掲げており、国際オリンピック委員会のトーマス・バッハ会長も「活動が成功し、東京大会のレガシーとなることを願う」とメッセージを寄せた。(西村奈緒美)
日本のスポーツ界では、性的少数者が参加しやすい環境づくりの必要性が指摘されている。日本スポーツ協会が2018年に実施した調査では、調査に応じた約1万人の指導者のうち3割弱が身の回りに性的少数者の当事者がいると答えたが、スポーツにおける性的少数者に関する知識が十分には理解されていないことも明らかになった。
性的少数者のなかでもとくに、出生時に体の特徴から決められた戸籍の性と異なる性を自認するトランスジェンダーは、男女に分かれて競技することが前提となっているスポーツの場面で苦悩に直面する。夢中になって自分を解放できる場であると同時に、自認と異なる性を受け入れなければならない場でもあるからだ。(忠鉢信一)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
Leave a Comment