性被害、顔隠さぬデモに共感 痛みのわかる記者が見た

記者解説 性暴力被害、もう黙らぬ

 毎月11日、性暴力をなくそうと訴える「フラワーデモ」が国内各地で開かれている。被害者に寄り添う気持ちを表そうと、生花を持ったり、花柄の衣服を身につけたり。「#MeToo(ミートゥー)」「#WithYou(ウィズユー)」のプラカードを持つ人もいる。シュプレヒコールや行進はしない、静かなデモだ。4月に東京で始まり、月を追うごとに場所、参加者とも増えている。11月は国内25都市で開かれる予定だ。

 きっかけは、3月に性犯罪の無罪判決が4件相次いだことだった。飲酒を強要されて眠り込んだ女性がレイプされた事件の判決では、抵抗できない状態だったことを認めながら、被告は女性が拒否していないと思い込んだ可能性があると指摘した。別の判決は、父親から娘への継続的な性虐待を認めながらも、娘の抵抗が「著しく困難だったとは言えない」と判断した。

 作家の北原みのりさんが友人らに呼びかけ、4月11日、女性を中心に400人が東京駅前に集まった。涙ながらに思いや体験を語る人が2時間途切れなかった。「また集まりましょう」。北原さんの呼びかけに呼応する形で、デモは各地へ広がっていった。

 10月11日、台風19号の影響でデモの中止が相次ぐなか、神戸市の公園に約30人が集まった。ダンスに興じる若者たちのそばで、20代の女性がマイクを握った。小学生の頃に被害に遭い、母親に伝えると「そういう格好をしていたから」と言われた。着ていたのはひざ丈のワンピース。以来、女性らしい服装を長く封印したという。この日、花柄のワンピースを着た女性が「私は間違っていないと言いたかった」と語ると会場は拍手に包まれた。

 参加者から「あなたは悪くないよ」との声も上がり、女性は笑顔を浮かべた。「対面して話すことがこれほど自分の力になるなんて。勇気を出してよかった。大きな連帯の中にいる実感に加え、居合わせた人たちに寄り添ってもらえた気持ちになれた」と話す。

語りにくい被害を可視化

 会場でスピーチする人の多くが性被害の体験について語ることを、北原さん自身、予想していなかった。

 「あなたを信じる、という空気…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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