「おかえり、お風呂たけてるよ」。雪が舞い散る2月上旬、つなぎを着た作業員が玄関のガラス戸を開けると、おかみの畠山香さん(54)の明るい笑顔と声が飛び込んでくる。
海を見下ろす高台に立つ岩手県田野畑村の「ひらいが海荘」。この2階建て11室の小さなホテルは11年間、東日本大震災で大きな被害を受けた被災地の復興にあたる作業員の「家」になってきた。
11年前のあの日、ホテルを2人で切り盛りする夫の拓雄さん(66)がとってきたムール貝を昼ごはんに食べてロビーで一息ついていたとき、立っていられないほどの揺れに襲われた。
直感的に「津波がくる」と思…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル