息子が横領罪に、100万円必要 3回の電話で81歳母は我を失った

 立て続けにかかってきた3回目の電話で、完全に我を失った。早くお金を用意しないと、定年間近の長男が破滅する――。新潟市で一人暮らしをする女性(81)は、東京の会社に勤める長男を救いたい一心で、銀行へと自転車を走らせた。

サトシから1回目の電話、のどが腫れている?

 最初に自宅の電話が鳴ったのは、7月14日午前11時半すぎのことだった。長男の上司らしい男性からで、長男と代わると言うので、続いて電話口に出た男性に「サトシ(仮名)かい?」と声をかけた。

 相手は「そうだ」と答え、せき込みながら話し始めた。出張で新潟市内の病院を訪れたついでに、のどが腫れているので診てもらったら、明日すぐに精密検査が必要だと告げられたという。

 ドキッとした。自分ものどの手術を受けたことがある。2カ月に1回は電話で聞いている普段の声と違うのも、のどの異常のせいだと思った。

 電話の相手は再び、上司らしい男性に代わった。どうやらサトシは、公衆電話に携帯電話と財布を置き忘れ、なくしたようだった。

サトシから2回目の電話「金を用意できないと横領罪に」

 携帯電話がないなら自分から連絡の取りようがない。不安の中、しばらくしてサトシが2回目の電話をかけてきた。

 「財布はトイレで見つかったが、中身を抜き取られていた。会社の情報も盗み取られていて、情報を取り戻すのに1200万円が必要。用意できないと横領罪になる」

 話はよくわからなかったが、何とかしてあげたいと思った。とはいえ、69歳までパートで働き、その蓄えと年金でつつましく暮らす自分がすぐ用立てできる金額ではなかった。

 オロオロしていると、サトシから3回目の電話が来た。

いらだつサトシから3回目の電話「あと100万円足りない」

 上司が1100万円をかき集…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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