4月23日、千葉県松戸市の男性(65)は自宅にいて、北海道・知床半島沖で観光船が沈んだニュースを知った。
前日、息子の橳島優(ぬでしまゆう)さんは「土産話と映像、楽しみにしててね」と言って、知床に旅立っていた。
まさか事故に巻き込まれているとは思わなかった。
翌24日早朝、自宅に海上保安庁の職員から電話があった。
「乗船名簿に橳島優さんの名前がありました」
男性は血の気が引き、その場に座り込んだ。
家族3人で知床に向かい、その夜、遺体安置所の体育館で優さんと対面した。
優さんは苦しそうな顔をしていた。
「その顔が一日も頭から離れない」と母親(58)は言う。
優さんは大学卒業後に鉄道貨物会社に就職。小型飛行機や小型船舶の免許を取るほど乗り物好きだった。
知床には、優さんと結婚を約束していた彼女も駆けつけた。男性は「翌週も将来も、予定がたくさんあった。それが一瞬にして絶たれてしまった」と語る。
北海道・知床半島沖で4月、観光船「KAZUⅠ(カズワン)」が沈没した事故で、犠牲になった千葉県松戸市の会社員男性(当時34)の両親が初めて取材に応じてくれました。乗員・乗客26人のうち20人が死亡し、6人が行方不明になった事故から23日で半年。両親は突然奪われた息子への思いや、事故への関心が薄れていくことへの焦りを語ってくれました。
事故後、家族の生活は大きく…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル