ウェブサイトを通じて、がん患者向けの情報を発信し続けている「国立がん研究センターがん対策情報センター」が、日本対がん協会の朝日がん大賞に選ばれた。正しい情報に基づく患者支援と、がん統計の集計に貢献したことが評価された。
センターは2006年、信頼できる情報や相談場所がほしいという要望を受けて開設された。当時、医療の地域格差や、欧米に比べ薬の承認が遅いドラッグ・ラグが問題になっていた。
「がん情報サービス(https://ganjoho.jp/public/index.html)」は、様々ながんの診断や治療の解説、支援制度などを掲載する。各学会の診療指針をつくる専門家に加え、100人の患者や家族らからなる「患者・市民パネル」の声を反映させている。全国の相談窓口や臨床試験を探すこともできる。
また、全国のがん拠点病院などで行う「院内がん登録」をもとに、がんの種類やステージごとの生存率、「全国がん登録」をもとに患者数も公表している。
若尾文彦・センター長は「医療者の独りよがりではなく、患者にとって読みやすいか、つらく感じる表現はないか確認して作っている。治療や療養の情報だけでなく、就労支援など社会的支援についても、幅広く情報を提供している。NPO法人や患者会とも協力し、さらに充実させたい。正しい情報への入り口として活用してもらえれば」と話す。(月舘彩子)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル