患者虐待常態化?看護師ら追加告発へ 八王子の病院、高い死亡退院率

 東京都八王子市精神科「滝山病院」の看護師の男が入院患者への暴行容疑で警視庁に逮捕された事件で、患者らの代理人弁護士は近く、別の看護師ら9人前後について暴行罪などで追加で告発する方針を決めた。同庁は逮捕された男を含む4人の告発状をすでに受理。弁護士は、患者への虐待が院内で常態化していた恐れがあるとみて解明を求める。

 同病院を監督する都は24日早朝、医療法と精神保健福祉法に基づき、臨時の立ち入り検査を抜き打ちで実施した。臨時の立ち入り検査は逮捕翌日に続き2度目となる。

 警視庁は14日、精神科に入院していた男性患者の頭を昨年4月にたたくなどしたとして、50代の看護師の男を暴行容疑で逮捕。この男を含む4人が、それぞれ別の患者の頭を殴るなどの暴行を加えたとする告発状を同庁は受理し、15日に院内を同容疑で捜索した。

 被害者の代理人を務める相原啓介弁護士は17日に記者会見し、協力者から院内で撮影された動画などを得たと説明。被害にあった患者は20人前後いる可能性があるとして、「数人の心ない職員による偶発的な虐待事件とは思えず、病院全体に蔓延(まんえん)しているのではないかとの疑いを持っている」と話した。

 相原弁護士はさらに映像や音声を分析し、被害者の話なども合わせて検討。告発した4人以外の9人前後が同様の犯行に及んだ疑いがあるとして、警視庁の捜査の進展も見ながら、早ければ週明け以降にも追加の告発を行う予定という。

 都などによると、私立の滝山病院は病床数288で、うち255床が精神科。外来は原則受け付けていない。

「死亡退院率」 高い数字

 滝山病院では、退院患者に占める「死亡による退院」の割合(死亡退院率)が高い数字を示している。

 厚生労働省は3年ごとに、精神病床患者の退院後の行き先を調査している。それによると、2020年の全国の死亡退院率は、退院後に行き先が不明な人も含めて約8・2%だった。

 東京都は、1年のうち6月の1カ月間を抽出して調査している。都によると、滝山病院の死亡退院率は、19年が100%(退院7人、死亡7人)▽20年が80%(同15人、同12人)▽21年が64%(同14人、同9人)▽22年が30%(同10人、同3人)だった。

 相原弁護士は「人工透析もやっているので亡くなる人もいると思うが、同様の病院に比べてこのような死亡退院率は考えられない」と指摘した。同病院の元職員の1人は取材に、「症状の重い患者を積極的に受け入れており、死亡率が高くなる」と話す。

 八王子市によると、18年4月から23年2月の間、同病院の入院患者のうち、18人が同市から生活保護を受けていた。うち4人が現在も入院中で、10人が死亡による退院だった。

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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