ICT、情報活用能力、自己管理――。朝日新聞と大手予備校・河合塾が全国の大学を対象に実施した共同調査「ひらく 日本の大学」で、各学長に「ニューノーマル社会で大学卒業者に求められる能力」を尋ねたところ、回答(自由記述)にはそんな言葉が多く並んだ。急速にデジタル化が進む社会で、大学がどんな人材を育てようと考えているのか、めざす方向が見えてくる。
この調査は2011年度から行っている。今年度は6~8月、国公私立大755大学を対象に実施し、85%に当たる655大学から回答を得た。
昨年春以降、新型コロナ対策で社会全体に様々な制約がかかるなかで、仕事でも暮らしでもオンラインを活用する新たなスタイルが広がった。今回の調査では、こうした「ニューノーマル」の社会で、大学を卒業する学生にはどのような能力が求められると考えるか、学長に自由に記述してもらった。
564大学から届いた記述の中で、頻繁に登場する言葉をみてみる。
もっとも目立ったのが、「情報」や「ICT」(情報通信技術)、「情報活用能力」など、オンライン化が進んだ社会に対応する能力に関する言葉だ。特に「情報」は194人の学長が304回、「ICT」は174人の学長が202回書いた。
また、自宅などで1人で画面に向かうケースが多いテレワークなどの働き方を意識して、自らを律して行動することの重要性を指摘する学長も多かった。「自己管理」は110人が116回、「自己調整」は33人が34回使った。
一方で、「コミュニケーション能力」「他者」「多様」などの言葉も目立った。コロナ禍で社会の課題がより複雑化するなか、多様な人と連携して問題を解決していく能力が、さらに重要になると考える学長が多いようだ。
調査では、求められる力を伸ばすために、大学として取り組んだり、今後始めようとしたりしている具体策についても尋ねた。こちらの記述でも、「データサイエンス」「AI」「ICT」など、ICTやデジタルに関する言葉が多く登場した。(編集委員・増谷文生)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル