「愛犬や愛猫の写真ではなく、愛着を感じる瞬間をアートで表現できないだろうか」
山形市の美大出身の起業家が、そんな願いに応えるプロジェクトを始動させた。
企画したのは、3年前に「EnoGG(えのぐ)」社(同市)を起業した高橋駿斗(はやと)さん(26)。
東北芸術工科大学(同市)の卒業生だ。
起業のきっかけは、絵画を学ぶ幼なじみが漏らした言葉だった。
「絵で生活していくのは厳しいから、あきらめる」
高橋さんは強い衝撃を覚えた。
従来は権威のある賞を取ったり、コンペや公募で受賞したりして始まるのが、「職業」としてのアートだ。
だが、心の内面を深く掘り下げて表現した絵に対して「この視点はすごい」と高い評価が集まる傾向があると感じていた。「暗い絵」と言われることもある。
いわゆる「創作」と呼ばれる部類だ。
その一方で、日常にアートを求める人たちは、感動や癒やし、安らぎが得られる「明るい絵」を好むのではないか。高橋さんが考えたのは、この道だ。
アーティストに「創作」と「制作」を分けて考えてもらう。日常にアートを求める人のための「制作」をプロデュースすることで状況を変えたいと考え、起業した。
現在、高橋さんの会社では、同校の卒業生や在学生らアーティスト20人が所属。顧客の企業理念を壁画にしたり、原画を定額で貸し出したりしている。
起業当初から「愛犬の元気な瞬間をアートで形に残せないか」などと、飼い主らから要望を受けてきたという。
最愛の存在をアートとして昇華させたい
高橋さんは、こう思い立った。
「飼い主が例えようもないく…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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