愛の不時着、梨泰院クラス…なぜ韓国ドラマは世界で売れるのか? 『冬のソナタ』以降の進化の歴史を振り返る(BUSINESS INSIDER JAPAN)

『愛の不時着』に『梨泰院クラス』、『サイコだけど大丈夫』……。2020年、Netflixをはじめとする動画配信サービスのトップランキングを、韓国ドラマが席巻しています。なぜ今、クオリティの高い韓国ドラマが多く生み出されているのでしょうか? 【全画像をみる】愛の不時着、梨泰院クラス…なぜ韓国ドラマは世界で売れるのか? 『冬のソナタ』以降の進化の歴史を振り返る 『愛の不時着』『梨泰院クラス』に関する解説記事が30万人以上に読まれている人気ブログ「One more Korea」の著者でもある、韓国在住のブロガーMisaさんが「韓国ドラマの強さの理由」をシリーズ形式で解説します。 初めて『冬のソナタ』で韓国ドラマが日本に伝わった2004年以降、韓国ドラマを取り巻く環境は大きく変化してきました。 この16年を振り返ってみると、韓国では、2011年頃のケーブルドラマの発展、2018年頃のNetflixの台頭というできごとが、ドラマ制作やビジネスモデルに大きな影響を与えてきたと言えます。 今回の記事では、地上波ドラマの時代から、最初の転換期である2011年ケーブルドラマの登場までを振り返っていきます。

1. 恋愛モノ中心、地上波ドラマの時代(~2010年頃)

『冬のソナタ』が日本に伝わった2004年頃。 この頃、ドラマを放送していたのは、主に地上波のチャンネル3つ(KBS/MBC/SBS)でした。 当時、日本で韓国ドラマが紹介される際に、日本では考えられないような高い視聴率の数字が並んでいたのを今でも記憶しています。 2002年:冬のソナタ(KBS2)28.8%2003年:天国の階段(SBS)43.5% 2005年:私の名前はキム・サムスン(MBC)49.1%※韓国での放送年。視聴率は全国基準。 これは実は、当時チャンネル数が限られていたことも大きく影響していました。どんなドラマでもある程度の視聴率が保証され、人気作品では50%に迫る驚異的な視聴率が出ていた時代です(この頃の作品には、視聴率60%というものも存在します) 。 当然、この頃の視聴者たちがドラマを見る方法は、テレビでの視聴がメイン。「夜、家族一緒にドラマを観る」ということもよくあった時代で、幅広い世代層にヒットする家族物・恋愛モノが必然的に多く作られました。 同時に、時代劇やジャンルものも一定数存在していましたが、どんなジャンルでも定番だったのが、出生の秘密、復讐、身分違いの恋といった内容。家庭でチャンネルの選択権を握る主婦世代を意識した要素がどの作品にも盛り込まれていたのです。 当時のドラマについて、韓国の友人たちに聞くと「どんなジャンルのドラマでも、結局恋愛モノになってしまう感じだった」そう。 その頃初めて、韓国ドラマの奥深さに触れた私たち日本人にとっては、とても新鮮だったこれらの作品。もちろん韓国でも当時はヒットしましたが、これだけドラマの内容が多様化した今振り返ってみると、役者や設定が違っても、似たような展開が繰り返されるドラマが比較的多かったと言えるでしょう。 テレビ編成が最重要だった時代
この頃のドラマの作り手側の環境にも注目してみましょう。韓国政府が1991年に法律を改正し、放送局に一定の割合で外注制作をするように義務を課したことで、この時代から、本格的にドラマの外注制作が始まりました。 『冬のソナタ』も、韓国の公共放送KBSのドラマということで、「テレビ局が制作したドラマ」というイメージがあったかもしれませんが、実はこちらも、当時新興制作会社だったファンエンターテイメントの制作です。 この外注制作の推進は、競争を促しコンテンツ力を高めるための施策だったのですが、いくら制作会社が増えても、当時は流通させる経路がほぼテレビ放送のみ。 この時代、制作現場では「ドラマの作品性よりも、編成が視聴率を左右する」と言われていたそうです。 日本での『冬のソナタ』のヒットを受けて、海外での販売の可能性も見えてきていたものの、それでも制作会社にとって、メインの収益源は放送局からの制作費。 制作費の支援を受けることで、ほとんどの権利を放送局に渡してしまうケースが多かったため、制作会社も結局は放送局の顔色をうかがいながら、編成枠を確保してもらうのに必死でした。また、放送局側にとっても「いかにコストを抑えて視聴率をとるか?」が重要だったといいます。 このような状況下では、なかなか新しいチャレンジを行うことができず、同じようなタイプの作品が繰り返されてしまうのも当然だったでしょう。

Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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