カネボウ化粧品が1日、メイクブランド「CHICCA(キッカ)」の販売を終了すると発表した。ツイッターには「ショックすぎる」「寂しいなぁ」「いやああああ」など、愛用者たちの悲しむ声があふれた。メイク愛好家の一人は、「人気作家がペンを置くようなもので、一つの思想がなくなることを意味する。メイク好きの間では大ニュースだ」と話す。なぜこれほど熱烈に愛されたのか。
キッカの販売開始は2008年3月。もともとある肌の色みや骨格を隠すのではなく、個性を生かしてきれいにすることをコンセプトに、アイシャドーや口紅、ファンデーションなどを販売する。発売当初からブランドクリエーターを務めてきたメイクアップアーティストの吉川康雄氏が今年3月末で退任し、ブランドの終了を予見するファンもいた。
花王グループ傘下のカネボウ化粧品は販売終了の理由を、「グループ全体の事業戦略を見直す中で決まった。吉川氏の契約終了とは関係ない」と説明している。昨年5月に花王が発表した、国内外で今後強化する計19の化粧品ブランドにもキッカは含まれていなかった。全国の百貨店などにある12店舗での販売は今年秋以降に順次終了し、ネット通販は20年秋に終える予定だという。
ツイッターでは、「キッカはブルベの強い味方」との声も相次いでいた。ブルベとはブルーベースの略で、その人に似合う色みのこと。色みはブルベとイエローベース(イエベ)の2種類に大別され、化粧品選びで参考にする人も多い。
劇団雌猫(げきだんめすねこ)のグループ名で「だから私はメイクする」という本を出版し、自らもメイク愛好家のひらりささんは「ブルベの人は、血色感の出るコスメ選びに苦労している。キッカはブルベ向けの色展開が人気で、ブランドのメイク思想も愛されていた」と話す。(村井七緒子)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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