愛知県海部福祉相談センター(同県津島市)の職員が、保護した70代男性を管轄地域外の公園に連れて行って深夜に置き去りにしたことがわかり、県が4日、記者会見して謝罪した。職員は上司の指示で放置した。男性は現在、脳梗塞(こうそく)を発症。大村秀章知事は「とんでもないことで厳正に処分する」と述べた。
県によると、男性は同県大治町のスーパーで1月17日夕、キャッシュカードを持たずにATMを操作していたところを県警津島署員が保護し、同センターに引き継いだ。
男性は話ができず、筆談もできなかったという。センターの50代男性、20代女性の職員2人は簡易宿泊所などの受け入れ先を探したが見つからず、電話で50代男性の上司に相談。上司が、消防の管轄が変わる場所まで男性を連れて行き、名乗らずに119番通報をして消防に保護させるよう指示した。
2人は17日深夜、男性を名古屋市中村区の公園まで公用車で連れて行き、男性職員が「高齢男性が公園で倒れている」と偽名で119番通報。市消防局が男性を保護し、県警中村署に引き継いだ。名古屋地方気象台によると、当時の名古屋の気温は6度ほどだった。
センターが保護したはずの男性が名古屋市の公園で見つかったことを不審に思った中村署が、偽名で119番通報をした職員と、電話で指示をした上司の2人に話を聞いたところ、2人は「男性が宿泊所から自ら立ち去った」とうそをついた。その後、関わった3人はセンター次長や中村署に置き去りにしたことを打ち明けたという。男性は19日に家族から捜索届が出ており、24日に身元が判明した。
県によると、身元のわからない人を保護した場合、老人ホームや宿泊所などに受け入れを依頼しなければならない。2人は「時間外の身元不明者の対応経験がなく、受け入れ先も見つからず苦慮し上司の指示に従った」と弁明。上司は「悪いことをした」と話しているという。大村知事は「人命に関することでゆゆしき事態だ」と述べ、事実関係を検証する考えを明らかにした。(江向彩也夏)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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