感染リスクあるのに…上司「営業どんどん行け」拒める？ -

コロナ法律相談　回答：友弘克幸弁護士

　新型コロナウイルスの感染拡大で、働き方や職場環境も大きく変わりました。心配なのは、こうした状況でのハラスメントや差別です。どう対応すれば良いか。記者が取材した事例などをもとに、専門家に尋ねました。（聞き手・山根久美子）

　Q　外回りの営業職です。取引先から「新型コロナウイルス感染予防のため、営業に来ないでほしい」と言われていますが、上司から「どんどん行け」と指示されます。拒否できないのでしょうか。

　A　労働契約法では、使用者（この場合は会社）は従業員の生命や身体の安全を確保しつつ労働できるよう、必要な配慮をする「安全配慮義務」があります。

　感染予防のため外出を控えるよう求められる現在、取引先も望まない営業を強要する上司の命令は安全配慮義務に違反して無効である可能性が高く、拒否していいでしょう。「早く行け、のろま」など言い方次第ではパワハラとなり、会社や上司が損害賠償責任を負うこともあり得ます。

　かりに取引先から訪問を求められても、会社は電話やビデオ会議などで取引先のニーズに応えることを検討しなければなりません。厚生労働省も職場での新型コロナ感染拡大防止のためのチェックリストを公表し、外来者や顧客らと対面での接触をなるべく避けるよう求めています。

　それでも上司に営業に行くよう命じられ、新型コロナに感染して健康被害が生じれば会社側に損害賠償を求めることもできます。

　拒否できないのであれば、労働組合を通じて会社側への申し入れを検討したり、言いにくければ社外の労働組合（ユニオン）や各都道府県の労働局に相談したりしましょう。

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ともひろ・かつゆき　2004年弁護士登録。労働者の立場で解雇や残業代請求などの労働問題に取り組む。大阪労働者弁護団事務局長。

・ハラスメント悩み相談室（厚生労働省の委託事業）https://harasu-soudan.mhlw.go.jp/

・全国労働相談（全労協）0120・501・581

・なんでも労働相談ホットライン（連合）0120・154・052

・新型コロナウイルス感染症に関する特別労働相談窓口（各地の労働局）

・新型コロナウイルス感染症に関する労働問題Q&A（日本労働弁護団）http://roudou-bengodan.org/covid_19/

・職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト（厚労省）https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000617721.pdf

新型コロナウイルスに関する問題に、記者が専門家に取材してお答えします。ご質問はQcorona@asahi.com メールするにメールでお寄せください。

　※Q＆Aの内容は、身近な法律問題について解決の参考となるよう、あくまで一つのケースを示したものです。個別の事情によっては、回答内容があてはまらないことがあります。

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