東京都が新型コロナウイルス感染者急増を受け、不要不急の外出自粛要請に踏み切る中、関西の自治体も警戒を強めている。都市部で感染経路が不明な症例が増加傾向にあり、オーバーシュート(爆発的患者急増)のリスクが高まっているためだ。大阪府は緊急事態宣言が出た場合を念頭に専門の対策チームを発足。兵庫県も海外からの帰国者を端緒とした感染拡大に注意を呼び掛けている。
■水面下で発生か
「リンク不明の陽性者が日々出ていて、感染は拡大状況にある。大阪も予断を許さない。いつ爆発的な感染が起きてもおかしくない状況だ」
大阪府の吉村洋文知事は26日、記者団にこう述べ、危機感をあらわにした。
東京都の小池百合子知事が表明した「重大局面」は、決して“対岸の火事”ではない。府はこれまで、大阪市内のライブハウス4店舗で発生したクラスター(小規模な集団感染)を警戒し、イベント参加者を発端とした感染経路の把握に注力。ライブハウスをめぐる感染拡大については19日に終息を宣言したが、その後は感染源が分からない患者が増えつつある。
府によると、26日までに確認された感染者156人のうち、47%にあたる73人の感染経路が判明していない。水面下でクラスターが発生している可能性は否めず、感染が一気に拡大して対応が後手に回る恐れもある。
■行動計画を策定
「オーバーシュートした段階では遅い。府民の命を守ることを最優先に判断していく」と吉村氏。府は爆発的急増を「災害と同じ扱い」(吉村氏)として、危機管理監をトップとするオーバーシュート対策チームを発足させた。
対策チームは危機管理室や健康医療部などの職員数十人で構成。改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、首相が緊急事態宣言を発令した際の対応マニュアル(行動計画)を策定する。
行動計画では、知事が府民に対し、外出自粛や不特定多数が集まる施設の利用制限を要請・指示するまでの手続きを定める。対策チームは各医療機関で必要な病床数を取りまとめたり、患者受け入れなどについて他府県への協力要請の要否を検討したりする。
さらに警戒を強めているのが、海外の流行地から帰国した人を端緒とする感染拡大だ。
156人の感染者のうち、海外からの帰国者と濃厚接触者らは計11人。関西国際空港の関西空港検疫所は中国や韓国のほか欧州、イラン、米国などからの帰国者・入国者に自宅やホテルなどで2週間待機し、公共交通機関を使わないよう要請している。
中でも入国時から2週間以内にイランやイタリア、スイス、スペインの一部などに滞在していた場合は全員にウイルス検査と定期的な健康確認を実施。外国人は出入国管理法に基づき入国を拒否している。
■往来自粛を延長
一方、大阪府と隣接する兵庫県では一時、福祉施設や医療機関など全国最多の6カ所でクラスターが確認され、1日10人前後の感染が判明した。ただ院内感染が疑われた北播磨総合医療センター(小野市)が段階的に業務を始めるなど「県内のクラスターはほぼ制圧、終息に向かっている」(県の専門家会議)という。
海外からの帰国者については26日までに8人の感染が確認されており、県は水際対策の強化を国に求め、帰国者にも注意喚起。井戸敏三知事は大阪などとの間の不要不急の往来自粛要請を31日まで延長する考えを示している。
吉村氏は今週末の外出自粛要請について「現時点で考えていない」としつつ、「警戒を緩めず、府民と危機意識を共有しながら対策に当たりたい」と述べた。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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