来夏に延期された東京五輪・パラリンピックの開催実現も大きな課題だ。大会の1年延期は安倍首相と国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長の会談で決まった。実質的な開催準備は大会組織委員会や東京都が担うが、国として果たすべき役割も大きい。 最大の課題は新型コロナウイルス対策だ。政府は従前から感染症対策は「国の役割」(橋本聖子五輪相)と位置づけ、水際対策など各種施策を進めてきた。政府は9月4日にも新型コロナ対策を検討する会議を設置し、東京都や組織委とともに入国制限の緩和条件などの具体的な運営方法を探る方針だが、現時点で有効な治療薬やワクチンがない中、世界中から選手や観客が集結する大会で、感染拡大を抑えることは難題だ。 「安全・安心な大会」の実現に向けては、テロやサイバーセキュリティー対策でも万全な対応が求められる。大会運営と経済活動を両立させる円滑な輸送や日本特有の暑さ対策、パラリンピック開催を契機としたユニバーサルデザインのまちづくりも途上にある。安倍首相が招致段階から訴えてきた「復興五輪・パラリンピック」の発信、ホストタウンなどを通じた「オールジャパン」での地域活性化や機運醸成も、政府の力によるところが大きい。 大会延期に伴い、数千億円ともいわれる追加経費の負担は今後の焦点となる。コロナ禍で経済状況が苦しい中、都を中心に国にも相応の負担を求める声は根強く、対応が注目される。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース