感染者が減っても医療逼迫 専門家、シルバーウィークでの再拡大懸念

 新型コロナウイルス対策を厚生労働省に助言する専門家組織は16日の会合で全国の感染状況を分析し、座長の脇田隆字・国立感染症研究所長は「安定して減少してきている」と述べた。ただ、病床使用率は緊急事態宣言解除の目安である50%を9府県で上回り、「多くの地域で医療の厳しい局面が継続している」と警戒を呼びかけた。

 専門家組織に提出された資料によると、15日までの1週間の全国の新規感染者数は10万人あたり41・58人で、前週の約半分に急減。東京都で0・55倍、愛知県大阪府で0・57倍、沖縄県で0・63倍となっている。1・02倍の石川県を除く都道府県で減少した。夏休みが終わって人の移動が減ったり、長雨で外出が減ったりした影響が考えられるという。

 一方、病床使用率は高い水準が続いている。内閣官房によると、15日時点で兵庫県が62%、埼玉県は60%。千葉、神奈川、愛知、滋賀、京都、大阪、沖縄の各府県でも5割を超えている。重症病床の使用率は、東京の76%が特に高い。

 厚労省によると、自宅療養者数は8日時点で10万3459人、療養先調整中は1万6246人で、なお多い状況が続いている。

 全国の重症者数は、15日時点で1743人。減少に転じたものの、高い水準にある。16日には全国で63人が亡くなるなど、死者は増加傾向が続いている。

 専門家組織は9月のシルバーウィークや学校再開などで、感染の再拡大が懸念されると指摘。冬に向けて更に厳しい感染状況が生ずるという前提で、医療体制を整えるといった対策が必要だと訴えた。

 同日に開かれた東京都モニタリング会議でも、重症者数の高止まりで、「感染者を大きく減らさないと、救急医療への深刻な影響が続く」との指摘が出た。東京、埼玉、千葉、神奈川の首都圏4都県知事は同日、シルバーウィークを前に、都県境を越える移動の自粛や、基本的な感染対策の徹底を呼びかける共同メッセージを公表した。(田伏潤、池上桃子、釆沢嘉高)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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