福岡県内で活動する性的マイノリティーの当事者や支援者らLGBTの11団体が12日、小川洋知事に要望書を提出した。新型コロナウイルスの感染者情報を調べ、公表する際に意図しないカミングアウトにならないよう、プライバシーの確保を求めた。
要望書の提出は感染拡大前から検討されてきた。パートナーシップ制度の導入や、災害時の権利保護などを求め、そこに「感染症対策における人権保障」というコロナ禍における要望を加えた。
呼びかけ人の三浦暢久さんによると、コロナ禍で「病院で家族扱いをされるのか」「意図しないカミングアウトにならないか」などと、不安な声が上がっているという。
三浦さんは、ゲイを公表していないパートナーと暮らす。パートナーが感染した場合、三浦さんとの生活を公表すべきか隠すべきか、悩ましいという。カミングアウトすれば、行動歴調査などで家族や職場にゲイであることを知られてしまうのではないか。隠せば、三浦さんが濃厚接触者と見なされず、検査を受けられないのではないか、と不安がる。
若者を支援する団体「FRENS」の小野アンリさんは自治体が感染者情報を公表する際、性別や家族構成、同居人について詳しく公表してしまうと、感染者が性的マイノリティーであることが知られてしまう恐れがあると指摘する。「法律上の性別と違う性別で働く人もいる。情報をどこまで公表するのか、プライバシーに配慮してくれたら安心して話せる」
小川知事は「改めて職員に、本人の意向を尊重し、意図しないカミングアウトにならないように周知徹底したい」と話した。(伊藤繭莉)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル