慰安婦報道訴訟、札幌高裁も棄却 元朝日記者の賠償請求

 元慰安婦の証言を伝える記事を「捏造(ねつぞう)」と断定され名誉を傷つけられたとして、元朝日新聞記者で「週刊金曜日」発行人兼社長の植村隆氏がジャーナリストの櫻井よしこ氏や出版3社に損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決が6日、札幌高裁で言い渡された。冨田一彦裁判長は原告側の控訴を棄却した。植村氏は上告する方針。

 植村氏は1991年、韓国人元慰安婦の金学順さんの証言を取材し、8月と12月に朝日新聞に記事が掲載された。櫻井氏は2014年に月刊誌「WiLL」4月号で「植村記者が真実を隠して捏造記事を報じた」と指摘。「週刊新潮」「週刊ダイヤモンド」誌への寄稿でも植村氏の記事を「捏造」と断定した。

 18年11月の一審・札幌地裁判決は、雑誌や韓国紙の記事をもとに、植村氏の記事が事実と異なると櫻井氏が信じたことに「相当の理由がある」と結論づけ、植村氏の請求を棄却。高裁も地裁の判断を踏襲した。

 植村氏は控訴審で「櫻井氏は植村本人に直接取材していない」と指摘。植村氏の記事が「捏造」だと信じたことに「『相当な理由がある』とは認められない」と主張した。だが高裁判決は「推論の基礎となる資料が十分あり、本人への直接の取材が不可欠とはいえない」として退けた。

 植村氏は記者会見で「不当判決。絶対に容認できない」と述べ、上告の意向を表明。櫻井氏は「裁判所が事実関係をきちんと見てくださったことを感謝する」とのコメントを発表した。(編集委員・北野隆一


Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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