慰霊祭と遺族つないだ映画監督 「子孫は語り継がなければならない」

 関東大震災でデマにあおられた住民らが、群馬県藤岡町(現藤岡市)で朝鮮人17人を虐殺した藤岡事件から100年。9月9日に犠牲者が埋葬されたという成道寺(じょうどうじ)である慰霊祭には、韓国の遺族も来日して出席する予定だ。慰霊祭と遺族とを結びつけたのは、在日朝鮮人2世のドキュメンタリー映画監督の尽力だった。

 茨城県に住む呉充功(オチュンゴン)さん(68)。呉さんは横浜の映画専門学校で学び、関東大震災の朝鮮人虐殺をテーマにした映画を制作している。

在日朝鮮人2世 大震災と虐殺がテーマ

 呉さんは1982年、東京の荒川河川敷で虐殺された朝鮮人の遺骨発掘調査が行われたのをきっかけに撮影を始めた。生き延びた朝鮮人の証言なども取材して、「隠された爪痕」(83年)を制作。千葉県で軍が習志野収容所に集めた朝鮮人の一部を自警団などに引き渡し、民間人が殺害したという事件の証言などをまとめた「払い下げられた朝鮮人」(86年)も発表した。

 追悼式や慰霊祭などを撮影する中で、違和感があった。「追悼式なのに遺族の姿が見えない。追悼するなら遺族がいるべきなのに……。犠牲者には帰りを待っていた家族もいたはずだ」

 呉さんは、2012年から韓…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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