首都圏で、子どもに小学校受験をさせる家庭が増えています。背景に何があるのか。保護者が留意すべきこととは。保護者や塾などへの取材から現状を探ります。
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小学校受験の情報サイト「お受験じょうほう」を運営する企業「バレクセル」(東京都渋谷区)が実施した首都圏1都4県(東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城)の私立小72校への調査では、2023年度入試の合計志願者数は前年度比407人増の2万6891人。19年度の2万1653人から、コロナ禍を経て24%増えた。同社の野倉学代表は「今後も志願者数は横ばいか微増で推移するのではないか」と予測する。
野倉代表によると、増加の背景には、首都圏で中学受験をする子どもの比率が上がり続けていることがあるという。中学受験へのサポートが手厚い小学校を志望する家庭だけでなく、中学受験を回避するため付属小を志望する家庭も増えているという。
森上教育研究所の調べでは、東京都と神奈川県の私立中が一斉に入試を行う2月1日午前に両都県の私立中を受けた人数は、今年は4万3千人超。1都3県の公立小の全6年生の人数を分母としたときの受験率は15・0%で過去最高となった。
コロナ禍の最中、志願者13%増
野倉代表はまた、コロナ禍のもとでオンライン授業への切り替えなどが公立小より早かったことが注目されたのも、私立小学校受験の増加の要因として大きいという。
バレクセルによる私立小72校への調査では、主にコロナ禍前の19年秋に実施された20年度入試の志願者は計2万1980人。これに対し、オンライン授業の急拡大を経た20年秋に主に実施された21年度入試では、志願者は計2万4764人。前年度比13%増と大きく増えた。
野倉代表は「かつては、『この小学校に行きたいから受験する』と志望校を限定して受験をする家庭が一般的だった。しかし、いまは『第1志望ではなくても、評判の良い学校だったら私立小に通う』という家庭も多い」と話す。
子どもに小学校受験をさせる共働き世帯も増え、それに呼応するように給食や放課後の預かり態勢を充実させる学校も増加。最近は、デジタル教育や英語教育に力を入れている学校が人気で、「学校のブランドより教育内容に注目する家庭も多い」と話す。
記事後半では、慶応義塾幼稚舎(東京都渋谷区)の受験に挑戦した家庭の体験談を紹介します。首都圏の小学校受験で同校は「最難関」と言われます。「きれいごとではすまなかった」と母親が振り返る受験の実態と、その結果とは。
小学校受験は「本人不在の選択」
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル