毎年花を咲かせては、大きな実をつけてきた「満(みつる)のミカン」。今年も約100個が採れた。15年前のJR宝塚線(福知山線)脱線事故で亡くなった長男の満さん(当時37)とともに育ってきた記念の木だ。JR西日本の担当社員らとの間をつなぎ、心通わせる支えとなってきた。
「今年のミカンはつるつるしてる。きれいに育ったねぇ」
2月中旬、兵庫県伊丹市に住む斎藤百合子さん(77)は、自宅裏の2本の木を見上げて目を細めた。
いずれも樹齢約50年。高さは8メートルほどある。百合子さんが見守る前でせっせとミカンをもいだのはJR西の社員たち。毎年恒例の収穫作業だ。ミカンは社員にあげたり、近所の人におすそわけしたりする。
満さんが3歳の頃、他県から伊丹市に引っ越してきた記念に植えられた。木は一緒にすくすくと大きくなった。
事故のあった2005年4月25日。満さんは長男の誕生日を翌日に控えていた。百合子さんは電話で「お祝いしようね」と言った。「うん。帰りに寄るわ」。それが最後の会話となった。
事故直後から遺族担当になった複数の社員が、毎月25日の月命日に訪ねてくる。
「こんなに実がなってるのにも…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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