野党議員が憲法53条後段に基づいて臨時国会を開くよう求めたにもかかわらず、政府がこれを事実上無視した場合に憲法違反になるのか――。この点が初めて争われている控訴審の判決が1月から3月にかけて3件、相次いで言い渡される予定だ。どこに注目すべきか、判決を前に裁判の意味合いを考えた。
裁判で問題になっているのは、森友・加計学園問題の真相解明を求めて2017年6月、野党が憲法53条後段に基づいて臨時国会の召集を要求したのに、98日間にわたって応じず、臨時国会を開くと冒頭で解散したという安倍晋三政権(当時)の対応だ。
野党の国会議員が原告となって、「臨時国会で質問する権利などが侵害された。臨時国会の不召集は憲法53条違反」などと主張し、岡山、那覇、東京の各地裁に相次いで提訴した。臨時国会の不召集の違憲性を初めて問う憲法裁判となった。臨時国会の召集という議会制民主主義にとって大切なルールを無視することが憲法上許されるのか、政府の対応に司法がチェック機能を果たせるのか、という日本の統治機構のあり方を考えるうえで重要な論点を含んでいる。
一審判決の内容をまず振り返…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル