ぬくもりある肌触りの人形を子どものお友達に――。奈良県斑鳩町の保育施設が手作りの女の子の人形を売り出した。保育士や保護者らが手がけ、赤い頭巾とワンピース姿に優しい表情がどこか懐かしい気分にしてくれる。誕生のきっかけは十数年前、小さな女の子がもらった1体の布人形だった。
住宅街の一角にある「おうち保育室hissi-patch(ひっしぱっち)」。ここで布人形の「みっちゃんお世話遊びセット」が次々と作られている。
純綿でできた生成り色のボディーに、手芸糸で三つ編みの髪、刺繡(ししゅう)糸で目と口がつけられている。ガーゼ製の頭巾とワンピースを身につけ、お世話遊びのためのおんぶひもや布団もセットになっている。
代表の岡本知佐さん(45)は夫の転勤に伴って転居した経験から、子育てで孤立する専業主婦の多さを実感。仕事を持たず保育園を利用できない親を含め、だれでも利用できる認可外の保育施設として2016年、ひっしぱっちを開設した。
空き家となっていた庭付きの広い住宅を安価で貸してくれる家主と出会うなど、多くの人に支えられてきた。しかし、定員15人の施設の収入だけでは保育士の待遇を改善するのは難しい。別の収益源が必要だと感じていた。
そこで考えたのが、布人形の…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル