新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからないなか、新年に予定されていた各地の成人式が中止や延期に追い込まれている。新成人にとっては一生に一度の大切なイベント。ウェブ開催を企画するなど、各自治体は感染状況を気にしながらあれこれ工夫を凝らしている。(伊藤繭莉、渋井玄人)
例年であれば、お正月は成人式シーズン。だが、コロナ感染の「第3波」を受け、政府の分科会は昨年12月11日、成人式の開催について注意を呼びかけた。政府も観光支援策「Go To トラベル」の運用を12月28日~1月11日の期間、全国的に停止すると発表した。
こうした状況に、式典の中止や延期を急きょ決める自治体が相次いでいる。
大分県宇佐市は12月15日になって、今月10日に予定していた成人式の延期を決めた。市社会教育課の担当者は「感染を恐れて帰りたくても帰れない新成人がいる。(延期して)新成人が互いに会える機会を模索したい」と話す。ただ、いつ開催するかは未定だ。
大分県中津市も12月16日に急きょ中止を決め、ウェブを活用する。動画配信サイト「YouTube」を通じて、新成人代表のあいさつや恩師らからの祝福の言葉を配信。「ウェブ同窓会」と銘打って、インスタグラムに写真やメッセージ動画を投稿してもらい、晴れ着姿を見せ合う場をつくるという。市社会教育課の担当者は「新成人や家族、市民の安全を考えた。一番かわいそうなのは新成人。少しでも思い出を残してもらいたい」と語る。
熊本県高森町は当初、出席者全員に抗体検査を実施したうえで今月3日に式典を開く方針だった。だが、12月25日に過去最多の68人の感染が確認されるなど熊本県内でも感染が広がり、26日に開催を断念。今後、新成人全員の意見を聞き、あらためて式典を開く時期を決めるという。町教育委員会の担当者は「新成人の意思を尊重し、一生に一度の式を何とか開催したい」と話す。
山口市は「人の流れを抑制する動きが加速されている状況を踏まえる」として、今月10日に開催予定だった成人式を5月の大型連休に延期することにした。貸衣装のキャンセル料などは、市が補償することを検討しているという。
宮崎市は、市内24カ所で計画していた式典を見送る。「今後の感染状況が見通せないため」といい、代わりに地区ごとに作成した「お祝いメッセージ」などの動画を配信するといった方法をとるという。
一方、苦慮しながらも、なんとか工夫して式典を開く自治体もある。
佐賀県大町(おおまち)町は、出席者全員にPCR検査を実施する。1月4日の式典当日に受付で唾液(だえき)を採取。座席を指定し、後日陽性者が判明した場合、本人や周りにいた人に連絡をするという。町教委の担当者は「検査をして、少しでも安心を与えたかった」と話す。
新成人数が約1万6千人と九州で最も多い福岡市は、1月11日午後に2回に分けて式典を開く。事前の申し込みが必要で、出席者にはマスク着用の徹底のほか、接触確認アプリ「COCOA」のインストールを呼びかけている。
北九州市も2回に分散して開催する。今回は会場のアリーナだけではなく観覧席も利用し、座席の間隔をとるという。
「こんな事態は初めて」
成人式の中止や延期は、地域経済にも影響を及ぼしている。
市内24カ所で予定していた式…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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