成長なき復興の「物語」とは 縮小にポジティブな意味を

 あの日から9年。膨大な労力と費用を投じて「復興」が行われてきた。だが、被災者の暮らしは再建されたのか。心の傷は癒やされたのか。「復興」の方向性は正しかったのだろうか。

語れぬ心痛、行政は聞いているか 苅米照子さん

 「50代の息子が引きこもりになってしまった」。福島県に住む高齢の女性から、最近受けた相談です。一見、全国のどこかの家庭にありそうな話ですが、悩みを聞くうちに、息子さんは東京電力福島第一原発事故による避難がきっかけで失業し、徐々に家に引きこもるようになったことが分かりました。「現在の悩み」であっても、原因が9年前にさかのぼるケースがよくあります。

 2011年9月から、福島の女性からの電話相談を受けています。年4千件の着電の記録があるのですが、スタッフや電話回線が足りず、対応できるのは1千件です。かつての相談者から「あなた方のおかげで自殺せずにすみました」「前向きに生きています」とお礼を言われると、こちらもほっとします。

 しかし、今も初めて電話をかけ…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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