1941年12月8日(日本時間)、日本の陸軍がマレー半島に上陸、その後海軍機動部隊が米国ハワイ・真珠湾を急襲して太平洋戦争が始まった。45年8月に日本が敗戦するが、それまでに日本人310万人(1931年の満州事変後の累計)、日本を除くアジア太平洋地域で1000万人以上が命を失ったとされている。戦後の日本は、この戦争を生き延びた人々の、悲惨な体験の集合的な記憶を共有することで、「非戦」と「平和」が絶対的な価値であることを確認してきたといえよう。しかし、開戦から78年、そして終戦から75年が経とうとしており、戦争を直接体験した世代がいなくなろうとしている。では、これからどのような手を打てばよいのだろうか?
まずは太平洋戦争を紹介する動画(3分)をご覧いただきたい。
https://wararchive.yahoo.co.jp/wararchive/pacificwar.html
「デジタルアーカイブ」で歴史を継承
筆者は、解決策の一つとなりうるのはデジタルアーカイブの活用だと考えている。インターネット上に戦争に関するコンテンツを積み上げていき、ユーザーに自由にアクセスしてもらうのである。
筆者は、NHKに勤務していた際、戦争を伝える番組を制作しながら、その時にインタビューした戦争体験者の言葉を映像で集めてネット上で視聴してもらう「戦争証言アーカイブス」の構築と運営に当たった。戦争体験者と直接会い、経験談を聞くことができなくなりつつある環境下での、いわば「次善の策」だ。
一方で、一つのサイトの中に多くの戦争体験インタビューや関連のコンテンツが集積されて一覧性を持って視聴できることで、戦争を多角的に知ることができる利点もある。
検索で欲しい情報にアクセス
NHKのアーカイブは、公開開始から10年経過し、2019年12月時点でおよそ1300人もの戦争体験者の証言動画を視聴することができる。これだけの数が揃ったことで、視聴・分析してみると様々な傾向が見えてくる。試しに、「日本人と捕虜」というテーマで各コンテンツを見つめてみることにしよう。
デジタルアーカイブでは、コンテンツ一つ一つに「メタデータ」が付いている。そのため、ユーザーは見たいコンテンツを選び出すことができる。「捕虜」というワードで検索をかけてみると519ものコンテンツが出てくる。それら一つ一つを見ていき浮かび上がってくる太平洋戦争の側面を記述する。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース