戦没者追悼式、遺族は92人のみ 配偶者の参列途絶える

【動画】全国戦没者追悼式=代表撮影

 終戦から76年の15日、政府主催の全国戦没者追悼式東京都千代田区日本武道館で開かれた。都内は新型コロナウイルス緊急事態宣言中のため、参列者数を昨年以上に絞り、過去最少の185人となった。戦没者約310万人を悼み、平和の継承を誓った。

 付き添いも含めて遺族92人のほか、天皇皇后両陛下や首相らが参列した。正午の時報に合わせ、1分間の黙禱(もくとう)を戦没者に捧げた。

 天皇陛下は「おことば」で昨年同様に「過去を顧み、深い反省」を盛り込み、「再び戦争の惨禍が繰り返されぬこと」を切に願うと語った。コロナ禍についても「私たち皆がなお一層心を一つにし、力を合わせてこの困難を乗り越え、今後とも、人々の幸せと平和を希求し続けていくことを心から願います」と述べた。

 菅義偉首相は式辞で、「今日、私たちが享受している平和と繁栄は、戦没者の皆様の尊い命と、苦難の歴史の上に築かれたものであることを、私たちは片時たりとも忘れません」と語り、「戦争の惨禍を、二度と繰り返さない、この信念をこれからも貫いてまいります」と不戦を誓った。

 1993年の細川護熙氏以降、歴代の首相は式辞で、「深い反省」や「哀悼の意」などの言葉で近隣諸国への加害責任を述べてきたが、第2次安倍政権以降は言及されておらず、菅首相も触れなかった。

 遺族代表で追悼の辞を述べたのは、兵庫県の柿原啓志さん(85)。父親の輝治さんが中国で戦病死した。

 遺族の参列者数は近年は5千人前後だったが、新型コロナウイルスの感染が拡大した後の昨年も遺族の参列を絞り、193人だった。1963年から続く追悼式で、今回初めて戦没者の配偶者の参列がなかった。

 今年は、東京都が宣言下という昨年になかった事態を受け、22府県が参列を断念し、参列できた遺族はさらに少なくなった。遺族の最年長は北海道の長屋昭次さん(94)で、最年少は東京の宇田川英吾さん(16)。

 都内に来られない人たち向けに、厚生労働省は動画配信サイト「YouTube」で生配信する対応をとった。

 会場では感染対策として座席の間隔を1メートル確保したほか、国歌斉唱は行わず、演奏のみにした。管楽器は使用しなかった。(久永隆一、小手川太朗)

天皇陛下のおことば(全文)

 本日、「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり、全国戦没者追悼式に臨み、さきの大戦において、かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い、深い悲しみを新たにいたします。

 終戦以来76年、人々のたゆみない努力により、今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが、多くの苦難に満ちた国民の歩みを思うとき、誠に感慨深いものがあります。

 私たちは今、新型コロナウイルス感染症の厳しい感染状況による新たな試練に直面していますが、私たち皆がなお一層心を一つにし、力を合わせてこの困難を乗り越え、今後とも、人々の幸せと平和を希求し続けていくことを心から願います。

 ここに、戦後の長きにわたる平和な歳月に思いを致しつつ、過去を顧み、深い反省の上に立って、再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願い、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、全国民と共に、心から追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。

砂上の国家 満州のスパイ戦 – プレミアムA

1932年、中国・東北部に建国された「満州国」。 その満州国 をめぐり、日本とソ連はスパイ戦を繰り広げました。 1960年代初めに収録された、旧日本陸軍の元将校らの証言録音を改めて分析。 その攻防に迫りました。

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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