2本の針を両手で繰って縫う姿は指揮者のようだった。
一般的な紳士靴の倍はある厚さ3ミリの皮革に、「シュル、シュル」と縫い目を引いていく。軽やかな作業に見えつつ、指の節が硬くなるなど手はボロボロだ。
登山靴は、軽くて手入れが簡単とされる化学繊維製の既製品が主流の中、本革のオーダーメイドにこだわるのが登山靴メーカーの「ゴロー」(東京都文京区)。冒険家の故・植村直己さんもゴローの登山靴を愛用していた。岸上純也さん(46)は5人しかいない職人のうちの一人として、登山靴を手がけてきた。
靴作りは客との対話から
靴職人を志したのは「人の足…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル