76年前の5月3日に日本国憲法と同時施行された地方自治法は、地方住民の政治参加の権利を保障している。だが、地方議員に20代が占める割合は全体の0・3%に過ぎない(2022年7月時点)。そんな「厚い壁」を崩そうと、四国では4月の統一地方選で20代8人が議員選挙に立候補した。2人に思いを聞いた。
地方自治法と公職選挙法は市区町村議会議員に立候補できる最低年齢を25歳と定めている。アイドルの淀(よど)紀清(きすず)さん(25)はその要件を満たして4カ月後の香川県東かがわ市議選(4月23日投開票)に立候補し、1214票を得て当選した。当選確定の一報が届いた瞬間、事務所に集まった家族や友人ら20人と、人生で初めて万歳をした。
同市で生まれ、アイドルグループ「モーニング娘。」や「ももいろクローバー」に憧れて高校3年から芸能事務所に所属。アイドルとしてライブハウスを中心に活動していた昨年秋、知人を介して地元市議に立候補を持ちかけられた。市議が所属する国民民主党は4月の統一地方選で地方議員の倍増を打ち出し、各地で「勝てる候補者」を探していた。
海辺のゴミ拾いなどのボランティア活動に取り組んだことはあったが、政治は遠い世界だと思っていた。自宅に届く議会便りも読んだことがなかった。真剣に考えたのは「人々の夢や思いを預けてもらい、自分の活動を通じて実現するのは政治家もアイドルも一緒だよ」という言葉が心に刺さったからだ。もともと地元愛は強く、議員になれば地域の盛り上げに一役買えるかもしれないと考えた。
地元愛が強いアイドルとして市議選に挑んだ25歳の女性は、思わぬ壁に直面します。記事の後半では、不登校を経験した29歳の候補者の選挙戦も追っています。
国道沿いで親族が営んでいた…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル