第25回手塚治虫文化賞(朝日新聞社主催)の贈呈式が3日、東京・築地の朝日新聞東京本社であった。マンガ大賞「ランド」の作者山下和美さんに鉄腕アトムのブロンズ像と副賞200万円が、新生賞の「葬送のフリーレン」原作担当の山田鐘人さんと作画担当のアベツカサさん、短編賞の「消えたママ友」「妻が口をきいてくれません」の野原広子さん、特別賞の「鬼滅(きめつ)の刃」の吾峠呼世晴(ごとうげこよはる)さんにはブロンズ像と100万円が贈られた。
野原さん以外の受賞者は、代理が出席。式は新型コロナウイルス感染防止のため、例年よりも規模を縮小し、関係者のみで開かれた。
式では受賞者や関係者が喜びを語った。
「この世」と呼ばれる封建的な村で育った少女たちの歩みを描いた「ランド」でマンガ大賞を受賞した山下和美さんのあいさつを、講談社モーニングの小松悠真副編集長が代読。「新連載の原稿の締め切りを勘違いし、大変修羅場になってしまい、式に来られなくなってしまいました。本当に申し訳ない。衣装まで用意していたのに。出席したかったんですよ。受賞したことを全然信じていないから」とユーモアたっぷりに喜びを表現した。
過去に手塚作品の「火の鳥」の新装版が刊行された際、トリビュートコミックを描いた喜びにも触れ、「今回も(受賞記念イラストで)思いっきり百鬼丸を描かせて頂きましたよ。本当にありがとうございます。こんな日がくるなんて。やった!」と結んだ。
新生賞は、勇者一行が魔王を倒した後の物語を描く「葬送のフリーレン」原作担当の山田鐘人さんと、作画担当のアベツカサさん。式には小学館週刊少年サンデー編集部の小倉功雅さんが代わりに出席した。山田さんは「火の鳥のいくつもの時代にまたがる壮大なストーリーが好き」、アベさんは「世代を超えて読みたいと思わせてくれる手塚先生の作品はやはり偉大」とそれぞれ手塚作品に関するメッセージを寄せた。
エッセー漫画のような絵柄でシリアスな物語を描く「消えたママ友」「妻が口をきいてくれません」で短編賞に選ばれた野原広子さんは「編集さんに受賞の連絡を頂いた時は、『いったい何を言っているんだろう』と理解するのにしばらく時間がかかった。本当に賞を頂いたんだな、と実感がわいてきました。これからもできることをコツコツと頑張って描いていきたい」とスピーチした。
社会現象を巻き起こし特別賞に選ばれた「鬼滅の刃」の吾峠呼世晴さんは、集英社週刊少年ジャンプの中野博之編集長が代理出席。「世界中の子どもたちを漫画の力で幸せにするのが、少年ジャンプの野望、目標。大きな希望をかなえてくれた作品となった」と語った。この日、主人公の竈門(かまど)炭治郎をイメージしたネクタイと妹の禰豆子をイメージしたポケットチーフをつけてきたと明かし、「誰にも気付いてもらえませんでした」と笑いを誘った。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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