岩本修弥
1997年に神戸市須磨区で起きた連続児童殺傷事件で、小学6年だった土師(はせ)淳君(当時11)が亡くなってから24日で24年となる。父親の守さん(65)が朝日新聞の取材に応じ、亡き子への変わらぬ思いのほか、コロナ禍が犯罪被害者のつながりにも影響していることへの懸念を語った。
「何年経っても一緒。子どもに対する思いが変わることはない」。命日を前に、守さんは遺族としての感情を打ち明けた。
当事者の一人として、犯罪被害者の支援のあり方を模索してきた。
犯罪被害者の権利の確立へ活動を続けてきた「全国犯罪被害者の会」(あすの会)では、長らく副代表幹事を務めた。同会が2018年に解散すると、その取り組みを受け継ぐ「つなぐ会」を関西の会員らと立ち上げた。「まだまだ支援の課題は山積み。もっと他団体との連携も必要だ」と話す。
だが、高齢の会員が多いこともあり、新型コロナウイルスの感染拡大で集まることが難しい。感染が比較的落ち着いていた昨年11月、大阪府内で久々に顔を合わせて近況を報告し合って以降、会を開催できていない。守さんは「生活や環境は変わっても被害者の心はそれぞれの事件当時のまま。つながりを持ち続けることが大切だ」と言う。
一連の事件で逮捕されたのは、当時中学3年の少年だった。04年に医療少年院を仮退院して以降、守さんの元に毎年手紙が届いていたが、18年以降途絶えたという。「手紙を書くという手段を使って、事件と真摯(しんし)に向かい合うべきだ」
今月21日には、国会で改正少年法が成立した。18、19歳の少年を「特定少年」として、刑事裁判にかける対象犯罪を拡大するなど成人の扱いに近づける。
「厳罰化ではなく、私自身は『適正化』だと思う」と守さん。選挙権年齢が18歳に引き下げられたことを踏まえ、「大人と同じ権利を得たのだから、罪を犯せば大人と同じ責任を負うべきだ」と語った。(岩本修弥)
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〈神戸連続児童殺傷事件〉1997年2~5月、神戸市須磨区で児童5人が襲われ、小学4年の山下彩花さん(当時10)と小学6年の土師淳君(同11)が殺害された。殺人などの疑いで逮捕された当時中学3年だった少年は医療少年院に送致され、2005年に本退院した。元少年の男性は15年に事件の経緯などを書いた手記「絶歌」を出版。遺族への事前連絡はなく、土師守さんは出版社に抗議した。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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