手足にまひの三男が「野球したい」 悩む母を支えた言葉

 「野球がやりたい」

 三男の遼くんがそう言い出したのは、幼稚園の年長になって間もない一昨年の春だった。中学2年と小学5年の2人の兄も、幼いころから野球漬けの日々を送ってきたから、予想はしていた。しかし、母親の松本千世(ちせ)さん(44)=高知市=はどうやってあきらめさせるか、頭を抱えた。

 数カ月後。子どもたちが寝静まった後、居間でくつろいでいて、テレビの高校球児の姿に釘付けになった。左手にはめたグラブで捕球し、グラブを右脇に抱えてから、左手で投げていた。

 夏の甲子園に出場していた高知商業の主将、山中大河さん(19)を紹介する特集だった。生まれつき右手の指が2本しかない、と番組は伝えていた。右手を服の袖に隠す、園児のときの山中さんのしぐさは、遼くんと一緒だった。

 遼くんは、生まれつき右手足にまひがあった。兄のまねをして、ボールを投げたり、おもちゃのバットを振ったりするようになったが、右手にはボールやバットを握る力がなかった。

 山中さんのお母さんに話を聞い…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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