なぜ午後8時に“当選確実”と報道できるのか?
第4回目となる「はじめての選挙」18歳のための基礎講座ですが、今回のテーマは、「当選確実」はどうやって決まるのか?です。
【画像】開票スタート午後8時に、なぜ“万歳”をする人がいるのかイラストで分かりやすく解説
第1回:「はじめての選挙」18歳のための基礎講座【1】参議院選挙って何?
第2回:「はじめての選挙」18歳のための基礎講座【2】 誰をどうやって選ぶの?
第3回:「はじめての選挙」18歳のための基礎講座【3】“特定枠”って何?
皆さんも選挙番組を見ていて、「間もなく午後8時になり投票が締め切られます」と言ったアナウンスの後に、午後8時になった瞬間から「〇〇選挙区の△△さんが当選を確実にしました!」と、当選確実を決めた人たちが紹介されていく姿を見たことがあるかもしれません。
「さっきまで投票が受け付けられていたのに、開票もしないうちに、なぜすぐにこの候補者の当選が確実になったんだろう?」と疑問に思いませんか?
今回はその仕組みについて解説します。
ちなみに「当選確実」と「当選」を報道機関は使い分けています。「当選確実」は投票された票の開票が続けられていて、まだ結果が確定していない時に使用し、「当選」は全ての票が開票されるなどして、結果が公式に確定した段階で使われています。
報道機関が重視する調査
報道機関では選挙戦が始まる前後から、各選挙区や比例区を対象にした情勢調査を行っています。各社によって方法や期間は様々ですが主なものをご紹介します。
1: 全国各地の選挙区を対象にした調査
この調査は、それぞれの選挙区を対象に、電話による調査や、有権者1人1人に対する対面型のアンケートで、選挙で誰に投票するのか、または期日前投票で誰に投じたかを聞いていく調査です。選挙中に複数回行う場合もあり、当選する候補を決定するために重要な調査となります。選挙区の調査に合わせて、比例の調査も大体ここで行われています。電話の調査の場合は、昔は固定電話が主流でしたが、現在は携帯電話を対象にした調査も行われ始めています。
2: 期日前投票所での出口調査
期日前投票は、2003年から設けられた制度で選挙当日(投票日)に投票できない人のために、事前に投票ができる制度です。2017年の衆議院選挙では2000万人以上も期日前投票を利用しています。
今回も全国で5700か所以上の期日前投票所が設置されていて、そこで投票した人たちに誰に投票したのかを聞いていく調査です。投票に行った人たちの調査なので、電話などで無作為に聞くよりも、より実態に近い調査とも言えます。
3:当日の投票所での出口調査
これも2の期日前調査と似ていますが、選挙の投票日当日に投票に来る人達を対象にして、投票後に誰に投票したのかを聞いていく調査になります。選挙当日だけあって、一番実態に近いものとも言え、電話による調査や期日前投票所での調査と合わせ、当選者を決める最終段階の調査になります。
こうした調査で注意すべき点も沢山あります。
例えば期日前投票所や、当日の投票所で行う出口調査は、数多くの設置場所から、何か所かに絞って調査を行います。そのため、地域性や住民性を考慮しないと、特定の候補や政党に調査数字が強く出てしまう場合もあり、実態とかけ離れてしまう恐れもあります。FNNでは、過去の投票行動などを分析して、どこで調査をするのが最も良いのかを慎重に検討して決定しています。
また、調査に応じてくれた方々の年齢層も、一定のバランスを取ることが重要視されています。投票率は年代によっても異なりますので、10代・20代から、30代、40代…と、それぞれの世代でバランスよく調査を行いつつ、実際の投票率がどの程度になるかということも計算に入れて調査を行っていきます。
上記のほかにも、SNSやインターネットを使った調査もあります。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース